IT業界において、多くのエンジニアがSES（システムエンジニアリングサービス）という形態で働いています。しかし、SESの仕事には、残念ながら「技術が身につくSES」と「身につかないSES」の2種類が存在します。一見、同じSESの仕事でも、その内容や環境によって得られるスキルやキャリアの成長に大きな差が生じることがあります。本記事では、求人や企業選びの際にどのポイントをチェックすれば、自分のキャリアにとって有益なSESを見極められるのかについて解説します。
SESとは？その基本を理解しよう
SESとは、システムエンジニアリングサービスの略で、エンジニアがクライアント企業に常駐して業務を行う形態のことを指します。SESは、プロジェクトベースで契約されることが多く、クライアント先での作業内容が多岐にわたるため、幅広い技術やスキルを習得できる可能性があります。しかし、全てのSESが同じではなく、その中にはエンジニアの成長を促進する案件もあれば、逆にスキルを停滞させるような案件も存在します。
技術が身につくSESの特徴
技術が身につくSESは、以下のような特徴を持っています。
- 高度な技術を要求する案件への配属
技術力が求められるプロジェクトに参加できるかどうかは、エンジニアとしての成長に直結します。例えば、最新のフレームワークや言語、クラウドサービスを使用するプロジェクトに関わることで、現代のIT業界に必要なスキルを実践的に習得できます。求人情報に「最新技術に触れる機会が多い」といった記述があるかを確認することが重要です。 - 継続的なスキルアップの機会が提供される環境
技術が身につくSES企業は、社員のスキルアップを支援するための研修や勉強会を積極的に行っています。こうした環境では、現場での経験だけでなく、体系的に新しい知識を得る機会が得られます。求人票や企業のウェブサイトで、研修制度や資格取得支援制度が充実しているかを確認しましょう。 - 技術的な成長を評価する制度がある
技術の向上が適切に評価されるかどうかは、モチベーションにも大きく影響します。技術力の向上に応じた昇給やキャリアパスが明確に示されている企業は、エンジニアの成長を真剣に考えている証拠です。これに関しては、企業の評判や社員の口コミサイトなども参考にすると良いでしょう。
技術が身につかないSESの特徴
一方で、技術が身につかないSESには以下のような特徴があります。
- 単調な作業が多い案件への配属
例えば、既存システムの保守や、簡単なデータ入力作業のみを担当するような案件では、新しい技術を学ぶ機会が限られます。このような案件に長期間配属されると、技術の進歩が停滞し、キャリアの成長に悪影響を及ぼす可能性があります。求人情報に「保守運用メイン」や「短期案件が多い」といった記述があれば注意が必要です。 - スキルアップの機会が少ない環境
企業側が研修や勉強会を積極的に提供していない場合、現場で得られる経験以外で技術を伸ばす機会が減少します。また、技術的なフィードバックが少なく、自己学習に頼らざるを得ない環境は、成長の速度を鈍らせる原因となります。企業選びの際には、研修制度があるかどうかだけでなく、実際にそれがどのように運用されているかも調べることが大切です。 - キャリアパスが不透明な企業
技術の向上に対する評価が曖昧な企業では、モチベーションを維持することが難しくなります。キャリアパスが明確でない企業や、昇進や昇給がスキルではなく年功序列に依存している企業は、自身の成長を感じにくく、結果として技術が身につかない環境になりがちです。企業面接時には、キャリアパスや評価制度について具体的に質問することをお勧めします。
SES企業や案件を選ぶ際のチェックポイント
SES企業や案件を選ぶ際に、以下のポイントに注意することで、技術が身につく環境を選びやすくなります。
案件の内容と技術スタックの確認
求人情報や企業面接で、具体的な案件内容や使用する技術スタックを確認しましょう。特に、自分が学びたい、または今後伸ばしたいと考えている技術が使用されているかは重要です。また、企業がどのような技術に注力しているかを知ることで、その企業が今後どの方向に進んでいくのかも理解できます。
研修制度やスキルアップ支援の充実度
研修制度やスキルアップ支援がどれだけ充実しているかは、企業の成長意欲を測るバロメーターとなります。企業が提供する研修の種類や頻度、資格取得のサポート体制などを確認し、それが実際にどれほど活用されているかを口コミなどでチェックしましょう。
評価制度とキャリアパスの透明性
自分の努力や成長が適切に評価されるかどうかは、働きがいやキャリアの進展に直結します。評価制度がどのように運用されているか、またキャリアパスが明確に示されているかを確認することで、長期的な視点でのキャリアプランを立てやすくなります。
まとめ
SESはエンジニアとしての成長を促進する場でもあり、逆に停滞させる可能性のある場でもあります。知識や技術が無いまま高齢になると、それこそ案件が無くなり、その後の人生設計が悲惨なことになりかねません。求人や企業選びの際には、技術が身につく環境かどうかを見極めるために、案件の内容や技術スタック、研修制度や評価制度などを慎重に確認することが重要です。
